
駒込富士神社(文京区本駒込5)で6月30日、「山開き大祭」が始まった。
同神社は1573年に現在の東京大学本郷キャンパスに駿河の富士浅間社を勧請(かんじょう)し、1628年ごろに現在地に遷座した。富士塚は古墳を改造したもので、斜面には富士山麓から運んだ溶岩を敷き詰め、加賀鳶(とび)をはじめとする鳶職が建てた石碑が立ち並ぶ。
同神社では「駒込は一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」の語源について、一富士は駒込富士神社、二鷹は駒込にあった徳川吉宗の鷹匠(たかじょう)屋敷、三茄子は「良質」で有名だった「駒込なす」のことであるとしている。
山開き大祭では、多くの露店が出店し、富士山型の麦落雁(らくがん)や縁起物で火伏せの利益があるとされる「麦藁(わら)蛇(神龍)」を販売している。「昔、境内で雨乞いをしていた時、天から龍が降り、境内の神木に巻き付いた」という伝承に由来するものだという。水道の蛇口にぶら下げておくと水毒を消してくれるため夏場の水あたりを防ぐとされ、竜の口から垂れる赤い舌を煎じて飲めば解熱効果があるとも伝えられている。
初日は、境内に焼きそば、かき氷、フリフリポテトなどが並んだ。小学生の姿も多く見られ、射的や型抜きなどを楽しんでいた。文京区立昭和小学校に通う2年生の岩崎まゆうさんは「今日はベビーカステラ、焼きそば、たこ焼き、五平餅、イカ焼きを食べて、ピンボールと缶倒しを楽しんだ。明日はかき氷、射的を楽しみに行く。またベビーカステラ買っちゃうかも」と話していた。
祭りに訪れていた区内在住の小海桂子さんは「富士山に登るわけではないが、毎年、この富士山の山開きに合わせた祭りは子どもだけでなく大人も楽しみにしている。本殿のガラスの扉が開き直接御祭神が拝められる機会が、新年の神事と節分祭と山開き大祭の年3回だけ。夜の露店もにぎやかで地域の小中学校のPTAや先生も見回りに来てくれるので安心して楽しめる」と話す。
富士講講元の藤井克彦さんは「この地に生まれ育った。商店街がなくなってから富士講も高齢者化が進んだ。昨年地域の若い衆に呼びかけて10人が手伝ってくれるようになった。伝統を絶やさないように次の世代に継承していきたい」と話す。
7月2日まで。